どうしても鹿児島市のまちづくりのヒアリングがしたい、と思い立ったのは1年以上前でした。なんどか企画して、でも予定がなかなか組めなくてずっと実現していませんでした。今回は予定を死守して、鹿児島ゆきを敢行しました。あとで知るのですが、去年ではなくて今年でよかったようです。
最近本当にお世話になっている、実践的な都市交通の研究者として、僕がとてもとても期待している九州産業大学の辰巳先生のご紹介で、We love 天文館へのヒアリングが実現しました。この2時間のために1泊2日の予定を敢行しました。そして、ヒアリングの成果は期待をはるかに超えるものでした。生きててよかった、ここまでがんばってきてよかった、そして自分は何をやっているんだろう、でも考えてきたことは間違っていなかった、などなど思いはいっぱいです。
僕は今、エリアマネジメントという言葉にこだわっていて、横浜国大を定年退職され現在は東京都市大学にいらっしゃる小林重敬先生が本当に考えていらっしゃることを出発点に、僕ら都市交通をやっている人間が無縁でいいわけがない、やるべきことがいくつもあるはずだ、という思いで、少しずつ勉強をしています。モビリティデザインという言葉への思いも結構熱いのですが、そこにつながっていくような気がしています。
地方都市の中心市街地が主体となってすべきこと、できることは何なのか、そして原点は何なのか、そこへの解を求めています。特殊解をいくつかつくれば、あるいは海外事例を単純に紹介すれば、済むということではない。もちろん、特殊解を通して学ぶことも、海外事例を通して学ぶことも多いが、それは、たとえて言うなら、適切な消化促進剤がないといけない。僕はその役割はしてきていると思っています。それはきっとこれからもやっていくし、できるだろう。でも、その先です。今回は、そこへの刺激をたくさんいただきました。
こうやって書いてしまうと当たり前にも読めるけど、ここに書くべきことだけここに書いておきます。
機動的であること、お金があること、人がいること、これは活動の基本で、さらに持続させるためには、人が育つこと、お金が集まり続けることが必要になってくる。そこに知恵が要る。
立ち上げた活動は、まず知名度をあげること、そして花火(イベント)をあげること、そして持続する仕組みをつくることになっていく。
お店の種類が分化する、デパートのように1階が婦人雑貨、2階が紳士服、というようなものは街ではない。いろいろなお店が混ざりあうところに良さがある。かといって混ざりすぎていてはいけない。ゆるやかなマネジメントの必要性がそこにある。これは名言でした。いやあジェイコブスでしたね。
空き店舗をもっている不動産業はまちづくりに関心はない。いい借り手、買い手を連れてくればそれでいい。だとすれば街でやることは地主を集めて未来を議論することではなく、借り手、買い手を探してくることだろう。ここでもゆるやかなマネジメントが功を奏する。
高齢化、不況、ガソリン高騰などで自家用車利用は減っていく。でもなくならない。公共交通来街者は大切にする。でも車を完全には締め出さない。
成熟社会になりきっていなくて、まだ経済至上主義が残っていて、ゆっくりお昼休みをとりお昼ご飯を食べることができない人たちが、3時間もかけてお昼ご飯を食べる文化の人たちと同じ空間を同じようには活用しない。あわてることなく、少しずつかえていけばよい。強権的な規制までいかなくても、ゆるやかな規制、運用があり得る。セミトランジットモールの発想もそこにある。自家用車アクセスだけを一時的に制限し、それに応じた分だけの道路空間再配分をしていくことからはじめていく。「にわとりたまご」的に考えると、僕などは、そうはいっても、質の良い空間がライフスタイルの成熟をより促進させる側面もあるから、しっかりとした歩行者空間、滞在空間は必要なのだと思うけど、急いてはなんとか、というところかもしれません。
そして原点は、中心市街地の徒歩圏人口の確保だということです。その人口規模と密度で、商業集積の必要量がわかり、それが適正な商業規模になるから、そこを見極めた戦略が必要になってくるということのようです。
いろんなことをされている組織でしたが、公共交通関連でいちばん感動したのが、市電無料化実験でした。天文館で降りた人はみんな無料。降り口で協議会の人が人数をカウントして、その人数×運賃×ちょっとディスカウント分をあとで交通局に支払うという、きわめて原始的な方法で、通常の2倍以上の降車客をゲットしたというのがすごい。
そして公共交通関連でいちばん残念に思ったのが、書けませんが、僕からすれば本来交通局か、ソフトウェア会社がちょこちょこっとやれば済むような話が大きくなって、協議会が費用負担をされているらしいこと、でした。
ICカードのシステムは、運輸事業者の管理効率化だけではなく、いろいろな広がりをもった技術なのに、日本は、それを思いっきり蔑ろにしている。国際的な会議で日本の公共交通の情報通信技術の紹介をいつもしている僕は、とても歯がゆい。環境に、まちづくりに、福祉に、つなげていかない。運輸事業と市民がつながっていくためには避けられない命題なのに、そこに視野が広がらない。僕の仕事はまだまだありそうです。
もっともっといろいろあるんだけど、それはまたどこかで原稿にまとめましょう。そして、この元気な人たちと長くお付き合いさせていただけるのかどうか、どういうお手伝いができるのか、考えていこうと思います。
1泊2日できちんと仕事もして、そして3回温泉に入れ、桜島も見たし、天気はずっと快晴だし、学生さんたちと盛り上がりっぱなしだったし(宴会2次会に電話参加のOGさんもね)、食べ物はおいしかったし、芋焼酎たくさん飲んだし(やっぱ、お酒弱くないかも)、照国神社でちえちゃんの海外研修の無事をみんなでお祈りしたし、最高の出張でした。みんな、ありがとうね。